金属を空中に浮かせて溶解

金属などの導電性材料の溶解時の汚染を最小にする方法として浮遊溶解が知られています。
この方法は、誘導加熱により少量の導電性材料を空中に浮遊させ溶解することです。
材料が溶解したら下に落とされるか型の中に入れられます。

浮遊溶解が有効なアプリケーションとしては、宝飾品、歯科材料、電子工業、航空宇宙関連の研究分野があります。

誘導加熱(IH)の浮遊溶解適用事例動画

誘導加熱(IH)活用による利点

用途別適用事例:浮遊溶解

誘導加熱は、信頼性、再現性に優れ、非接触でエネルギー効率の高い加熱を短時間に行います。
先進のソリッドステート技術による誘導加熱電源を活用した誘導加熱装置は、それぞれの冶金学上の特性を損なうことなく、製造公差の範囲内で、正確に非常に小さな範囲を加熱することが可能です。

浮遊溶解は、三次元の複雑な力のバランスに頼って溶解されますが、電源の正確な自動周波数チューニングとパワーコントロールにより、一貫した信頼性/再現性のある溶解が達成されます。

浮遊溶解に適した電源の出力レンジは、材料やアプリケーションによりますが、3から10kWです。

浮遊溶解の動作原理

導電性材料が誘導磁界の中に置かれると、その中に誘導電流が流れ、その電流は材料の抵抗により熱を発生させます。
熱が発生している間、材料に流れる電流は、コイルに流れる電流が発生する磁束と逆向きの磁束を発生させ、その力が溶解した材料に作用します。
この力を適切にコントロールすれば溶解した材料を浮遊させることができます。

最初のステップとして、らせん状の円錐型の誘導コイル(ビデオかアプリケーション・ノート参照)を用いて、強力な磁界勾配を生成します。
次に、バッキングプレートとして円錐型コイルの上に、逆方向に巻いたコイルを作り垂直方向の安定度を得ます。
円錐型コイルとバッキングプレートの組み合わせにより、”ヌル(ゼロ)”ゾーンが作られ、溶解した金属はそのゾーンにとどまります。

連続してRFパワーをかけると、金属は溶解し浮遊状態を保ちます。
この浮遊ゾーンでは、不純物に汚染されることも無く機械的な干渉も受けません。

浮遊溶解のアプリケーションノート

浮遊溶解のアプリケーションノート(適用事例)を準備しております。
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